選挙と合戦用語 その1

サンサン様(改変)

はじめに

選挙の際、世間では
選挙区を「国」、政党の数合わせのための議員を「陣笠議員(代議士)」、
立候補を「出馬」などと呼びますが、

選挙活動で使われる、
若(も)しくは多少なりとも関係ありそうな合戦用語や使用される小道具、
さらには、言葉の本来の意味や語源等について、

以降、何回かに分けて、
細かいテーマごとに紹介していこうと思います。

 

1、用語の紹介に際して

紹介する用語の中には、イメージし易いものや
選挙以外でも使われるような馴染み(なじみ)のある言葉もあれば、
元の意味と現在の状況の差異が大きいものもあることで、

個人的には、その辺りの多様性が、存外面白いように思います。

100語程度紹介する予定につき、
選挙の流れ→五〇音順で行います。

その流れとは、

 

政党レベルの段取→選挙区レベルの選挙戦の段取→

→実際の選挙運動→形勢→結果

 

という具合に区分し、

語数が多いものについては、
それぞれのステージごとに、さらに細かく分けます。

また、残念ながら、私自身が政治活動のプロではないので、
カテゴリー区分が下手であったり、不勉強であったりしますので、

その辺りは悪しからず御願い致します。

その他、付け焼刃で余計な話も少なからずしますので、御容赦下さい。

それでは、
長い前置きとなりましたが、そろそろ本題に入ります。

 

2、政党本部レベルの選挙の段取に関する用語 その1 

事前に取り決める戦術や作戦行動を示す用語・1

 

選挙戦のアウト・ラインの決定と実行。

与野党が拮抗する選挙であれば
まだこの段階では勝敗は判然としないのでしょうが、

諸事順当に行けば、以下のような用語が使えそうなもの。

 

軍立(いくさだて)・軍法(ぐんぽう)・兵法(へいほう・ひょうほう)

戦をする方法を言います。

軍の法規やしきたり等も含むようです。

現在で言えば、政策の争点や選挙の時期、
選挙区ごとの候補者の調整等の設定でしょうか。

 

軍首途祝(いくさのかどでいわい)

出陣に当たって、縁起のよいように祝いの行事を行うことです。

室町時代以降は、出陣式を挙げるよりも、
まず敵の油断を見澄ましてこれを攻撃して、

幸先良しと祝うことが出陣の門出祝いとなりました。

現在の選挙はこの逆で、広報を兼ねて盛大に行いますね。

 

軍評議・軍評定(いくさひょうぎ・いくさひょうじょう)

軍議です。合戦についての軍略を練ったりして
意見の交換を行うことです。

選挙に限らず、現在の日本では、
人・モノ・カネを大きく動かす際には必要なプロセスです。
多過ぎても遅きに失しますが。

 

奇変を構える(きへんをかまえる)

敵に覚(さと)られぬように
敵を攻撃するための準備をすることを言います。

与党の解散権の利活用などが好例でしょうか。
逆に、準備する方は政局によってタイミングが読みにくいことで、
大変だなあと思います。

 

軍配(ぐんばい)

合戦時に於(お)ける、部隊配置を意味する言葉です。

古くより中国の兵法が入り、それに則って(のっとって)、
さまざまな部隊配置を行い、
また、主将の指揮によって、臨機応変に配置を換えました。
これを軍配と言い、その指揮を示す道具が軍配団扇(うちわ)。

また、大名・主将より軍配団扇を預かる人を「軍配者」と言います。
所謂、「軍師(ぐんし)」。

この「軍師」は、
戦国時代の初期は、各種儀式を取り仕切り、
占いや気象予想等も行いました。

早い話、当時の学術部門の何でも屋として、
斬り合いが始まるまでに
将兵の士気を出来るだけ高める役割を担っていた訳ですが、

時代が下ると、各種交渉事や城普請等、
さらに実務的・専門的なことも担うようになります。

また、もう少し入念に手配・準備・方法を試案して
配置することを、「配立(はいだて)」と言います。

現在の選挙では、選挙区と候補者を調整したり、
選挙の本部や実務の責任者等を決めたりすることでしょうか。

後、所謂「軍師」については、
吉田内閣に引導を渡して鳩山一郎に天下を取らせた三木武吉などが、
そうした人に該当するように思います。私個人の妄想話ですが。

なお、候補者の擁立で揉める(もめる)場合については、
別のカテゴリーを用意します。

 

 

【主要参考文献】
笹間良彦『図説日本戦陣作法事典』
上山和雄『陣笠代議士の研究』
升味準之輔『日本政党史論』各巻
小和田哲男『軍師・参謀―戦国時代の演出者たち』

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