選挙と合戦用語 その4

松波庄九郎様(改変)

 

政党本部レベルの選挙の段取に関する用語 その4

党内での各種調整の失敗と事態の複雑化に関する用語 1

 

選挙の際、組織が一枚岩ではない時には、

ひとつの選挙区で同じ政党の候補者同士が議席を争い、
最悪の場合は離党に及んで古巣と敵対することもあります。

その原因として、
大本の政党内での政策の整合性で揉める(もめる)ケースもあれば、
政党本部と地方支部の利害調整で揉めるケースもあることと思います。

こうした離合集散は、選挙せによ、武家同士の争いにせよ、
人が集まることが政治力である以上は避けられぬ宿命かもしれません。

ここでは、選挙の本番前の、
こうした各種調整の失敗に起因する離合集散にあてはまりそうな用語を
掲載します。

 

裏切(うらぎり)

味方を裏切って攻めることを言います。
大抵は、敵が利益を餌(えさ)にして裏切をさせます。

籠城のような逃げ場のない戦場で苦境に陥った(おちいった)時や、
敵が優勢で味方が劣勢の時に、
敵からの誘いによって裏切る場合がよくあります。

攻める方でも往々用いる手です。

 

多数派工作と機密資金

選挙や多数派工作としての買収は、
戦後は元より、戦前も戦前で往々に行われていました。

特に多かったのが、
旧内務省が用途不明の「機密資金」
政府の予算原案に反対の議員を買収するケース。

当時、某県の豪放な地方政治家など、地方議会の場で、
「機密資金で身動きが取れない」
といった際どい発言をしていました。

明治時代の初期議会の頃は、野党の力が非常に強く、
そのうえ格下の日本を見下す先進国の目もあったことで、

明治政府としては、
とにかく無事に政府案を通過させて無難に議会を閉幕させ、
議会が機能していることを証明するべく、
当事者は必死だったのです。

激化する民権運動のため、警視総監が過労死する時代。

戦後は、私の生まれる前に騒がれたらしい「金権政治」のみならず、

アメリカの情報公開で、
CIAが少なくとも佐藤内閣辺りまでの自民党に
秘密裡にかなりの資金援助を行っていたことが分かったそうな。

 

政策と進退と汚名

こういう汚職とは別の次元の話として、

政策の賛否で議員が踏み絵を踏まされたという点では、
私個人の記憶に残っているのが、
小泉内閣の郵政民営化問題です。

党内を割って代議士から自殺者まで出し
これで出世の芽を摘まれた大物議員も数多いたことで、

昭和の土木事業もそうですが、
その時代のパラダイムとなる政策で揉めれば、
行くところまで行くものだと思った次第。

成程、物事、綺麗事で済むのであれば、
選挙は不要かもしれません。

執行者から見れば裏切なのですが、
粛清された側としては、そうは感じていないでしょう。

 

 

鬮取(くじとり)

非合理の中に潜む(ひそむ)合理性

攻撃・退却等を決めるのに、部将の率いる隊の数が多いと、
順序を決めかねることがあります。

そうした場合に不服が出ないように籤(くじ)を作ってそれを取らせ、
その番号で順序を決めます。

これを鬮取と言います。

室町時代末期頃から軍の動員数が大規模化したので、
こういう措置が必要になりました。

これも、後述するように、
どこまで守られたかは定かではありませんが。

また、江戸時代までは、地方の利権争いで収拾が付かない場合は、
所謂(いわゆる)チキン・レースめいた荒事で決めていました。

結果は神様が決めるものだという信仰が前提にあるからです。

 

究極の選択、籤(くじ)引きと離党

現代の選挙、特に小選挙区では、

離党してでも出馬する人がいたりすることで
さすがにこういうことはやっていないと思いますが、

物事を裁くには、その過程の透明性も、
双方に文句を言わせないための権威
必要だということを痛感する次第。

因みに、サイト制作者は法学の学徒ではありません。念のため。

 

【主要参考文献】
笹間良彦『図説日本戦陣作法事典』
上山和雄『陣笠代議士の研究』
升味準之輔『日本政党史論』各巻

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