中々失敗しない、素人の煮物料理

@tatsuyasweets様(改変)

今回は特に、料理は不得手だが興味があるという単身者のための御話です。

初心者の煮物料理の最大のコツ、

大したことが言えなくて申し訳ありませんが、
とにかくやってみることに尽きると思います。

その理由は、最低限のことを抑えて味見しながら作れば失敗しにくいうえに、
失敗しても、金銭的にも身体的にも被害が少ないからです。

さらには、余程手順にこだわらなければ、時間も大して掛かりません。

 

1、最低限抑えること

さて、調理のアウトラインとしては、

肉・魚・野菜・揚げ物・練り物等の中で和食に合いそうな食材を、

 

量換算で大体、醤油1:料理酒1~2と、

これと半分から同じ位の

そして、肉や魚に応じて、乾物の昆布かダシ用の粉を入れ、

味見して醤油や調理酒を継足しながら煮れば、

極端にヘンな味にはなりません。

*冗談のようですが、これ位アバウトにやっても、それなりの味になります。

 

手始めに、白菜と魚の練り物の煮物をおすすめします。

私の母が忙しい時によく作っていたのものです。
完成品の練り物が相手につき、煮加減は大雑把でも大丈夫ですし、
当たり障りない味です。

また、この要領に慣れれば、

具材や好みに応じて、
みりんや砂糖、味噌(みそ)、生姜(しょうが)等を少々加えると、
さらに美味しくなります。

先の記事の魚の煮物など、まさにこの延長でして、
魚や野菜、調味料を変えれば、バリエーションが大幅に増えます。

さらに極端なことを言えば、皆さまは、しゃぶしゃぶを食べる時、
御家庭では、どうなさっていたでしょうか。

湯に乾物の昆布一枚を入れ、ダシが出るのを待ち、
そのまま、肉や野菜をくべていたのではないかと想像します。

アレにポン酢を添えるのを止めて、
調理酒と醤油を入れるのが基本
です。

 

2、おでん、肉じゃがを我が手で

そして、この応用で何が作れるかと言いますと、
おでんや肉じゃが等が有効射程圏内に入る訳です。

女性の方に殴られると思いますが、

私など、「得意料理は肉じゃがです。」とおっしゃる方は、
あまり料理は得意ではなさそうだなあと、邪推します。

もっとも、こういう余計なことを書くような性格が災いしてか、
私は未だに独身ですし、

肉じゃがの場合は、具材を煮る前に炒める必要があるので、
その意味では一筋縄では行きませんが。

この辺りの話は、東郷平八郎の部下が、
カレー・ルーの代わりに醤油を入れて肉じゃがをこしらえたような話ですが。

 

3、ローリスク、ハイ・リターンの素人の煮物料理

初期投資こそ、調味料を揃えることで多少掛かりますが、
習慣にしてしまえば、驚く程安く作れます。

おでんなんか、茹で(ゆで)卵の殻剥き(むき)が面倒なだけで、
レシートを見れば、コンビニ等で完成品を買うのが馬鹿馬鹿しくなる程。

さらに、天ぷらのように、火事や火傷の怖さもなく、
食後の油処理の煩雑さもありません。

ただ、夏場は日持ちしないことと、作り置きで毎日食べると飽きが来ることで、
少な目にマメに作る必要があることです。

その際の対策として、例えば豆腐等、
安くてそのまま食べられ、かつ栄養価の高いものを買い足し、
煮物のメニューに対する比重を下げるのも手だと思います。

豆腐の場合、スーパーで3パックで100円以下、というものが売られています。
生物の割には、結構日持ちします。

また、これに因み(ちなみ)、私の中学時代の恩師の話を挙げます。

その先生は男性で、当時は20代の独身で母と同居としており、
自宅で野菜を栽培していらっしゃったそうな。

で、子、ではなく、師曰く(いわく)、

ウチでは肉じゃがは、大皿の大盛りで出されるのでウンザリする。
小鉢(こばち)の一品もので出て来る位が品があって良い。

—と、授業中に生徒相手に溢して(こぼして)おりました。

この「故事」の反省を踏まえて、
例えばカボチャの煮物等、日持ちする料理は、
一品ものとして食べるような手を考えると良いかもしれません。

 

4、かつての職場の同僚の話

こういう初歩の初歩のような素人料理について書く理由も、あるにはありまして。

と、言うのは、かつての私の職場の同僚の方々が、
調理を面倒がって高くつくコンビニ弁当や外食を頻繁(ひんぱん)に利用し、

それでも給料が高ければ問題ないのですが、当然そうでもなく、その結果、
何か不意の物入りの月の給料日前に借金を頼む人すらいらっしゃる始末。

ところが、そういう方々の中にも、一念発起して簡単な料理を独学で始めた結果、
懐(ふところ)具合も精神的にも豊かになった、という、
殊勝な方がいらっしゃいました。

私自身、料理ベタながらも、食事とは本来そういうものだと思いますし、

年齢・性別を問わず、料理を趣味にする方が多いことが
それを物語っていると思います。

煮魚の調理の急所、手抜きでも何とかなる初歩の初歩

ガイム様(改変)

 

煮魚の調理。

不得手な方は、ハードルが高そうな印象を持つかもしれませんが、

昨今は、スーパーで安くて使いやすい切り身が売られていることで、

少々のポイントを抑えておけば、
初心者でも簡単に相応に美味しいものが作れます。

むしろ、小中の家庭科で「2」を取った愚図(ぐず)な私のように、
少しの手間でここまで美味しくなるのか、と、驚くかもしれません。

それでは、本題に入ります。
煮魚の要領を箇条書きにすれば、以下のようになります。

 

1、新鮮な魚を選ぶ

2、冷蔵庫に入れる前に、塩水で洗う

3、調理する前に塩を振る

4、3、の後、湯で洗う

5、冷たい汁ではなく、煮たてた煮汁に魚を入れる

6、落し蓋(ぶた)をする

 

主に、この5点。

全てこなすのが面倒という方は、出来る範囲で行うだけでも随分違います。
ただし、調理する前に塩を落とす必要があります。

*調味料以外の消耗品は、キッチン・ペーパーを準備します。

魚の調理以外にも、
例えば、シンクの汚れを少しでも防ぐために炒めものの残り汁を吸わせる等、
色々と重宝します。

スーパーで200円位で売っており、消耗品にしては、枚数は多いです。

 

次いで、箇条ごとの説明。

1、新鮮な魚を選ぶ

個性豊かな魚も、仕入れから3日も経てば、味の個性がなくなります。

新鮮であれば、ダシが薄くても魚の素の味が強く出るのですが、
鮮度が落ちると、こういう力技が効きません。

それでも、単身の勤め人であれば、週にスーパーに通うことが難しことで、
こういう魚を食べざるを得ないのが悲しいところ。

それでも、週末や休日の買い出しの際のポイントとしては、

・一尾魚(いちびざかな)の場合はエラが赤い、目が金色か澄んでいる、

・切り身の場合は、切り口が緩んでいない、身にツヤがある、

体液があまり出ていない、

と、いったようなことがポイントになります。

 

2、冷蔵庫に入れる前に、塩水で洗う

買い出しで疲れて帰宅した直後に
こういうことをやるのも面倒なものですが、

一方で、買った魚をそのまま冷蔵庫に入れると魚の臭みが体内にまわるので
困ったものです。

例えば、単身世帯の方が、
週末の買い出しのストック分とその賞味期限を睨み(にらみ)ながら
週の前半だけでも魚料理を食べたい場合等、

買い置きした魚を少しでも良い状態に保つ工夫が必要になります。

そこで、一尾魚の場合は、エラと腸(はらわた)を除き(切り身はそのまま)、
海水魚は1.5%の塩水で、淡水魚は真水で洗います。

次に、キッチン・ペーパーで水気を拭き(ふき)、
ペーパーでくるんで冷蔵します。

なお、1.5%とは、
海水よりも少し薄い塩味で、魚に塩味が付かない程度の濃さです。

家庭用につき、厳密なものを求めなければ、1、2回程度少し塩を振る感覚です。

 

3、調理する前に塩を振る

魚の両面に塩を振ります。

その理由は、以下。

・余分な水分の脱水により、身が締まる。

・臭みの除去。

・旨味の凝縮(ぎょうしゅく)。

・軽く塩味を付ける。

特に、煮魚の場合は、脱水した時の穴から煮汁の調味料が浸み(しみ)込むので、
薄味でもしっかり味が付きます。

なお、塩は粒子が細かい精製塩(小売で市販のもの)が適しており、
量は目分量で大丈夫ですが、時間は調理の20分程前。

私の場合は、まず、魚に塩を振ってから、
味噌(みそ)汁の具を刻んだり、次の手順「4、」に必要な湯を沸かします。

テキストからすれば横着ですが、
これより時間が短くても、一定の効果はあります。

 

4、3、の後、湯で洗う

塩を振った魚を、煮汁とは別の湯で洗います。
通称、「霜(しも)降り」。

その効果は、以下。

・鱗(うろこ)・骨・血等の汚れの除去。

・生臭みや余計な脂の除去。

・旨味を身の中に閉じ込める。

・魚同士がくっ付かない。

霜降りの方法は、ペーパー・タオルとボウルに冷水を用意し、
魚を湯に潜らせて(くぐらせて)表面が白くなったら引き揚げます。

引き揚げたらそのまま冷水に浸け、指で魚の汚れを優しく洗った後、
ペーパータオルで水気を拭きます。

冷水に浸けるのは、それ以上の熱を入れないためです。

なお、湯の温度は、皮がはげやすい魚は65~70℃。
皮がしっかりしている魚は100℃。

私の場合は、これにかなり横着をしていまして、
温度は熱湯であれば適当。
さらには、冷水から出した後は、紙にくるみもしません。

それでも、実際に行うと分かるのですが、

湯に漬けるだけでも、かなりの量の灰汁(あく)や脂、
カスのようなものを除去出来ます

加えて、味自体も、これをやるだけでも、
私自身が見様見真似で適当に作っていた頃よりも格段に美味しくなっています。

 

5、加熱前の冷たい汁ではなく、煮立てた煮汁に魚を入れる

これを行う理由は、煮汁が熱い場合、
魚の表面がすぐに加熱して固まり、旨味が閉じ込められることと、
加熱時間が短くて済むということが挙げられます。

 

6、落し蓋(ぶた)をする

煮魚の場合は、
煮汁が少ないことと、料理酒が入っていることで、すぐに蒸発します。

ところが、蓋をしていることで、蒸発した水分が再び還元されることで、
要は水分が気体になり、また水分になることで、結果として、
蒸発を遅らせることが出来ます。

これは、冬至の際のカボチャの煮付け等、
煮汁の少ない煮物にも言えることです。

 

【主要参考文献】
野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
新しい食生活を考える会
『食品解説書つき新ビジュアル食品成分表 新訂第二版』

冬が旬の魚・10 河豚(ふぐ)

bachstroem様(改変)

 

【特徴・由来】

旬は脂肪が載った(のった)冬。
ただし、夏以外は出回ります。

フグ科で、北海道南部以南の日本近海に40種類程いますが、
食用は「とらふぐ」「からすふぐ」「しょうさいふぐ」「真ふぐ(まふぐ)」等
10種類程。

白身の高級魚です。

とらふぐが最高級品で、魚類全般の中でも高価です。

養殖も盛んで、流通量の半分が養殖です。
春に漁獲後、鮮魚を餌に飼育し、値の上がる晩秋に出荷します。

さて、河豚は主に西日本で親しまれ、
「不遇」を連想する言葉を嫌って「ふく」と呼ばれます。

古くから食用にされていますが、
肝臓や卵巣に、神経を麻痺させる猛毒・テトロドキシンを有していることで、

特に江戸時代には、長州や尾張等、
昔から、為政者による売買禁止令が頻繁(ひんぱん)に出されました。

明治21年(1888)に伊藤博文が山口県での河豚食を解禁し、
下関が河豚の集散地に発展しました。

こうした事情を反映して
関西では当たったら命がないということから河豚を「鉄砲」、
河豚の刺身(さしみ)を「てっさ」、ちり鍋を「てっちり」と、
それぞれ呼びます。

現在も河豚の中毒事件はあることで、
厚生労働省は食用に出来る種類や可食部を定め、
取り扱いも都道府県条例で規制されています。

なお、主な漁獲地ですが、
天然ものは石川・北海道・福岡・山口・島根等で、
福岡の「玄海とらふぐ」等がブランドです。

養殖ものは、長崎・熊本・香川等で、
「長崎ふく」がブランドになります。

 

【選ぶ時のポイント】

関西では、毒のある部位を除いた「身欠き(みがき)」
店頭に並びます。

透明感があり、弾力と光沢のあるものが良いです。
なお、養殖は水っぽく、身が柔らかくなっています。

 

【栄養および健康の効果】

高たんぱく質、低脂肪で、旨み(うまみ)成分もあります。
皮にはコラーゲンが豊富に含まれています。

また、グルタミン酸やイノシン酸、タウリン等が多いことで、
疲労回復に効果があります。

 

【可食部100gあたりの主要な栄養成分】

とらふぐ(養殖・生)

エネルギー     85kcal
たんぱく質    19.3g
脂質        0.3g
炭水化物      0.2g
ナトリウム    100mg
カルシウム    430mg
マグネシウム    25mg
リン       260mg
ビタミンD      4µg
ナイアシン    5.9mg
ビタミンB6  0.45mg
ビタミンB12  1.9mg

*1000µg(マイクロ・グラム)=1mg

なお、真河豚の栄養価も、とらふぐとそれ程変わりません。

とふらぐの方が、やや脂肪分が多い代わりに、
ビタミンが少ないという程度です。

 

【調理のコツ】

身も蓋(ふた)もないのですが、
家庭での河豚の活魚の調理自体が違法行為です。

そこで、食べ方となる訳ですが、
刺身とちり鍋が主な料理です。

刺身

職人の包丁捌き(さばき)の見所として、
皿に盛った時に模様が透けて見える程に薄く切るのが
注目すべき点。

身が厚いと、歯ごたえが固くなるためです。

盛り方もさまざまで、
菊の花のように盛る「菊造り」や、「つる造り」、「くじゃく造り」等があり、
こうしたことも楽しみのひとつ。

そして、出された刺身を、
柑橘類(かんきつるい)の搾り(しぼり)汁と醤油を半々に合わせたポン酢に、
鴨頭葱(こうとうねぎ)や浅葱(あさつき)等の薬味を添えて食べます。

 

ちり鍋

骨付きの身を昆布(こんぶ)のダシで、豆腐や春菊と煮るもので、
ポン酢やおろしを添えます。締めは、卵で雑炊にするのがパターン。

 

3種類あり、いずれも食用にします。

表面の皮はゼラチンが多く、「煮凝り(にこごり)」にします。
真皮(しんぴ)は湯引きして刻みます。
身側の皮は、竜田揚げ等にします。

また、珍味「ふぐの子ぬか漬け」は、産地は石川県白山市。

河豚加工の免許を持つ業者が、
毒のある卵巣を塩漬けした後、2年以上かけてぬか漬けにし、
消毒します。

 

【逸話】

江戸時代の河豚と食中毒

落語「ふぐ鍋」のあらすじは、
旦那とその太鼓持ちと、所謂(いわうる)「乞食(こじき)」の二者による、
先に河豚を試食させるための騙し合い(だましあい)。

この噺(はなし)に象徴されるように、

当時の河豚は、今日のように免状を持った料理人が捌く高級魚ではなく、
どうも危険な素人料理の見本のようでして、
高級魚どころか価値の低い「下魚(げざかな)」でした。

因みに(ちなみに)、江戸時代の中頃の魚のランクは、
上魚・中魚・下魚の3段階があり、

上魚は、鯛(たい)・鱸(すずき)・鰆(さわら)といった白身魚が多く、
中魚は、鰹(かつお)、鯵(あじ)、鰻(うなぎ)等。

そして「下魚」は、鯖(さば)のような今日でも大衆魚の見本のような魚もあれば、
鮪(まぐろ)や件の河豚のようなものも含まれていました。

無論、当時とは漁業や魚料理をめぐる環境が激変していることが大きいのですが、

そうした事情を考慮したとしても、
今日、実際にスーパーの鮮魚売り場に足を運ぶと、やはり隔世の感が否めません。

 

食中毒も、江戸の華?!

さらには、江戸の町民や庶民の事情として、

先述の「ふぐ鍋」にあるような
建前と本音が交錯(こうさく)しているとでも言うのか、

上等な魚を廉売させる権力者に張り合う意味をこめて
味よりも食べ方に価値を置いて見栄(みえ)を張る文化がありました。

これにより、ロクに氷の確保も難しい時代のことにつき、
河豚の他にも、有名な初鰹(はつがつお)をやった際に食中毒を起こした、
といったことも絶えなかったそうです。

 

日本料理の価値

河豚の刺身の盛り付けに因みまして。

時代や地域を問わず、どの料理にも言えるかもしれませんが、

特に京料理の価値は、
味は元より、器や配膳(料理を出すタイミング等)、
盛り付けも含めた総合的なものだそうな。

版画や陶芸と、マルチに作品を残した
北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)は食通としても有名ですが、

食と陶芸の接点は、共に料理の価値を高めるという点にあります。

―恥ずかしながら、私も最近こういうことを知ったのですが。

 

【主要参考文献】
野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
白井明大・有賀一広『日本の七十二候を楽しむ』
新しい食生活を考える会
『食品解説書つき新ビジュアル食品成分表 新訂第二版』
冨岡一成『江戸前魚食大全』
熊倉功夫『日本料理の歴史』

冬が旬の魚・9 かじき

paulbr75様(改変)

 

【特徴・由来】

漢字は「真旗魚」、「真梶木」、「真舵木」と、諸説あります。

遠洋ものが多く、冷凍で年中出回っています。
また、旬は種類によって異なります。

黒かじき  初春~夏。
白かじき  夏
真かじき  夏とも冬とも言われます。
めかじき  秋~冬。

マカジキ科とメカジキ科に属する魚で、全長3~4m、体重100~600kg。
上顎(うわあご)が長く、先端は槍のように尖る(とがる)形が特徴です。

温暖な海を、魚類中最速の時速100kmの高速で遊泳します。

日本近海にいるのは、「真かじき」、「めかじき」、「芭蕉かじき」、「風来かじき」、
「白かじき」の6種類です。

古くから食用にされ、弥生時代の遺跡から骨が出土。
また、外洋の食物連鎖の頂点にいる魚で、別名「大洋の暴れん坊」
特に、めかじきの凶暴さは有名です。

国内では、主な漁獲地は、宮城・高知・鹿児島等。

最も味の良いのは真かじきで、次いで白かじき。
ここでは、主に真かじきについて触れます。

 

【選ぶ時のポイント】

ブロックや切り身で売られているので、
赤い色が美しく、切り口がしっかりしているものが良いです。

 

【栄養および健康の効果】

たんぱく質・ビタミン・ミネラルが多く、低脂肪です。

ただし、体内に微量の水銀を含むことで、
厚生労働省は、妊娠の際は週2回までの摂取を目安としています。

 

【可食部100gあたりの主要な栄養成分】

まかじき(生)

エネルギー   115kcal
たんぱく質   23.1g
脂質       1.8g
炭水化物     0.1g
カリウム     380mg
リン       270mg
ビタミンD     12µg
ビタミンE    1.2mg
ナイアシン   10.4mg
ビタミンB6  0.44mg
ビタミンB12  4.3µg
パントテン酸  1.25mg
ビオチン    13.1mg

*1000µg(マイクロ・グラム)=1mg

 

めかじき(生)

エネルギー   153kcal
たんぱく質   19.2g
脂質       7.6g
炭水化物     0.1g
カリウム     440mg
リン       270mg
ビタミンA(レチノール) 61µg
ビタミンD    8.8µg
ビタミンE    4.4mg
ナイアシン    7.6mg
ビタミンB6  0.37mg
ビタミンB12  1.9µg
ビオチン     2.7mg

*1000µg(マイクロ・グラム)=1mg

 

 

【和食の調理のコツ】

黒かじき・真かじき

鮮度が良ければ刺身(さしみ)、寿司だねに使われます。
冷凍ものは、照り焼き、フライ等。

骨がないので調理は簡単ですが、
加熱し過ぎるとパサパサし、固くなります。

また、脂肪が少ないので、バターや油との相性が良いです。

例えば、茹でて(ゆでて)粗く(あらく)ほぐし、サラダに使用。
また、みりん・醤油に浸して焼く「照り焼き」等も良いでしょう。

 

めかじき

脂肪が多く、柔らかいので、刺身には向きません。
照り焼き、味噌(みそ)漬け、煮付け、ステーキ等が適しています。

 

 

【逸話】

ヘミングウェイの『老人と海』のキューバ人の主人公・サンチャゴが
捕獲のために4日間の死闘を繰り広げた相手が、この真カジキ(marlin)。

この小説の舞台はメキシコ湾ですが、
ヘミングウェイが愛したキューバのフロリダ海峡を挟んで対岸に位置する
フロリダ半島では、

メジャーのナショナル・リーグの一球団
「マイアミ・マーリンズ(旧・フロリダ・マーリンズ)」が、
この小説に因んで(ちなんで)チーム名に使用しています。

こうして見ると、海とは不思議な存在です。

裏に表に、戦前からのフロリダ半島・キューバ間の
人とモノの往来の活発さを物語る象徴的な話だと思いますし、

今日、我が国の食生活に多大な影響を及ぼす
回遊と乱獲との関係等のような魚の話も含めて、
国境とボーダレス化について考えるうえで、興味深い材料だと思います。

 

【主要参考文献】

野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
新しい食生活を考える会
『食品解説書つき新ビジュアル食品成分表 新訂第二版』

冬が旬の魚・8 金目鯛(きんめだい)


まぽ様(改変)

 

【特徴・由来】

旬は冬。
深海魚につき季節はあまり関係ありませんが、
脂がのるのは冬です。

キンメダイ科(タイ科ではありません)で、全長40cm前後。
釧路沖以南の太平洋側の深海の岩礁に棲息(せいそく)します。

大きな目が金色に輝いているので、この名前が付きました。
因みに(ちなみに)、東京付近では「きんめ」と呼びます。

身が柔らかく、脂肪の多い白身魚です。

真鯛(まだい)の代わりに祝儀用に、
尾頭(おかしら)付きで用いる地方もあります。

以前は、関西では馴染み(なじみ)の薄い魚でしたが、
最近では全国的に知れ渡って来ました。

主な漁獲地は、静岡・千葉・東京・長崎・高知等。
静岡の「稲取(いなとり)キンメ」、千葉の「銚子つりきんめ」
高知の「土佐沖どれ金目鯛」等がブランドです。

 

【選ぶ時のポイント】

体色やえらが赤く鮮やかで、
目や鱗(うろこ)が金色に光っているものが良いです。

 

【栄養および健康への効果】

たんぱく質や脂肪が多く、脂溶性(しようせい)ビタミンが豊富です。
DHAやEPAも多く含まれます。

 

【可食部100gあたりの主要な栄養成分】

金目鯛(生)

エネルギー  160kcal
たんぱく質  17.8g
脂質      9.0g
炭水化物    0.1g
カリウム   330mg
カルシウム   15mg
マグネシウム  73mg
リン     490mg
ビタミンA   63µg
ビタミンD    2µg
ビタミンE  1.7µg
ナイアシン  2・7mg

*1000µg=1mg

 

【和食の調理のコツ】

煮付けが代表的な料理ですが、
鍋物・味噌(みそ)汁・照り焼き等にもします。

煮付け

煮付けの場合は、
小さい場合は一尾(いちび)のまま、大きい場合は切り身で使います。
脂が多いので、濃い目の味付けが合います。

 

焼く場合

三枚におろして皮目に熱湯を掛ける皮霜(かわしも)造り
皮目を炙る(あぶる)焼霜(やきしも)造りにすると、
皮が引き締まり、皮の色も活かせます。

利久焼き(りきゅうやき)は、
醤油・酒・みりん・練り胡麻(ねりごま)を合わせた漬け汁に
20分程漬け(つけ)て焼きます。

火が通ったばかりの美味しさがピーク。

 

【主要参考文献】
野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
新しい食生活を考える会
『食品解説書つき新ビジュアル食品成分表 新訂第二版』

冬が旬の魚・7 鯉(こい)


masy様(改変)

【特徴・由来】

旬は冬。
特に、脂の載る(のる)11月~1月が美味しい(おいしい)です。

コイ科の淡水魚で、全長20~50cmで、1mに達するものもあります。

北海道から九州まで分布し、
野生の希少種「野鯉(のごい)」と養殖の「大和鯉(やまとごい)」を合わせて
「真鯉(まごい)」と呼びます。

なお、食用に流通するのは、後者「大和鯉」です。

さて、日本人は、はるか縄文時代より鯉を食べており、
また、生命力・繁殖力が強く、気性が大人しく輸送に向いていることで、
早くから各国で養殖が行われていました。

日本でも江戸時代初期に養殖が始められ、
海から離れた内陸部の貴重なたんぱく源でした。

長命で堂々とした姿は、「淡水魚の王様」であり、
祝宴の席にも用いられます。

こうした事情を反映してか、
鯉が鯛(たい)よりも高価な時代もありました。

 

養殖

調理の際、以前は泥を吐かせていましたが、
養殖技術の進歩で泥臭さは減少しました。

また、主な漁獲地は茨城・福島・宮崎等。
ブランドとしては、長野の「佐久鯉(さくごい)」が有名です。

現在では、流通しているもののうち、90%が養殖ものです。
2年程飼育して、750g位になったところを出荷します。

 

【選ぶ時のポイント】

一尾魚(いちびざかな)の場合は、目が澄んで、えらが赤いもの、
切り身は、身に張りがあるものが良いです。

 

【栄養および健康への効果】

たんぱく質や脂肪が多く、ビタミン・ミネラルも豊富な、
栄養価の高い魚です。

 

【可食部100gあたりの主要な栄養分】

鯉(養殖・生)

エネルギー  171kcal
たんぱく質  17.7g
脂質     10.2g
炭水化物    0.2g
カルシウム  340mg
ビタミンD  14.0µg
ビタミンE   2.0mg
ナイアシン   3.0mg
ビタミンB12 10µg
パントテン酸  1.48mg

*1000µg=1mg

 

 【和食の調理のコツ】

生きたものを使うのが原則で、頭を叩いて仮死状態にしてから処理します。

塩焼きは淡泊な味わいです。

 

刺身(さしみ)・洗い

刺身にするなら、
胸びれの下にある苦玉(にがだま≒胆のう)を
潰さないで(つぶさないで)丁寧に取り出し、
三枚におろします。

さらに、そぎ身にし、冷水でさらした「洗い」は、
鮮度が良い程、筋肉がよく縮み、歯切れ良く味わえます。

洗いは酢味噌、普通の刺身は柚子胡椒(ゆずこしょう)が
おすすめです。

 

鯉こく

「鯉こく」は、身を濃い目の味噌(みそ)汁で煮たものです。

まず、身を濃いめの味噌汁で一昼夜程煮込み、
固い骨まで食べられる程柔らかくし、
長葱(ながねぎ)や粉山椒(さんしょう)でいただきます。

 

その他

また、鯉は鱗(うろこ)も食べられる珍しい魚です。

醤油・砂糖・みりんで煮た旨煮、
骨や内臓を味噌味のアラ汁に仕立てるのもおすすめ。

なお、中華料理では丸揚げ甘酢あんかけ、
西洋料理では、ドイツの青煮、フランスのビール煮等が有名。

 

【逸話】

江戸幕府においては、
祝い事に必要な魚の中でも、鯛と鯉は別格でした。

そして、江戸城中への納魚は、
魚河岸の中でも特別の役柄(鯉御用)を持つ商人が請け負っていました。

また、これに因んで(ちなんで)、松尾芭蕉の俳諧のパトロンが鯉問屋。
当時、鯉の商いはそれだけ羽振りが良かったのです。

例えば、高弟・杉山杉風(さんぷう)は有力な鯉問屋の出で、
芭蕉に多大な経済援助をして俳諧の発展に尽くしました。

さらには、芭蕉庵は先述の鯉御用・井上与市兵衛の所有する
深川の巨大な生簀(いけす)の番小屋を改造したものです。

別の逸話としては、プロ野球球団・広島カープの「カープ」は、
戦前の旧軍・第5師団の防諜名(ぼうちょうめい・コードネーム)の
「鯉」に因んだ(ちなんだ)ものです。

敗戦の傷跡が生々しい一方、
戦争文化が庶民の生活に大きい接点を持っていた時代の
産物なのかもしれません。

 

【主要参考文献】
野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
白井明大・有賀一広『日本の七十二候を楽しむ』
新しい食生活を考える会
『食品解説書つき新ビジュアル食品成分表 新訂第二版』
冨岡一成『江戸前魚食大全』

冬が旬の魚・6 鮟鱇(あんこう)

KoK51様(改変)

【特徴・由来】

旬は冬~初春。
最も味が良くなるのは2月で、「鮟鱇は梅が咲くまで」と言われます。

東京から茨城にかけて、鮟鱇鍋は冬の鍋の筆頭格です。
茨城の大洗には、ロビーや広間等で解体ショーを行う旅館もあります。

また、鮟鱇は捨てるところがないと言われ、
ほほ肉(柳肉)、えら、肝臓(きも)、ひれ(とも)、卵巣(ぬの)、
胃袋(水袋)、皮が、通称「鮟鱇の七つ道具」

鮟鱇の肝臓が、「あん肝」です。

さて、鮟鱇はアンコウ科で全長1.5m程の大きさの魚で、
頭が大きく扁平で、胴や尾は極端に細く短い独特の形です。

北海道以南の日本近海に約60種いますが、
食用にするのは「黄鮟鱇(きあんこう)」と、黒褐色の「くつ鮟鱇」の2種類。

その中で、鮟鱇と言えば、前者の黄鮟鱇を指します。
本鮟鱇とも呼ばれます。

また、鮟鱇は肝臓の大きさで質と値段が決まると言われ、

市場では、腹を割いて(さいて)、
肝臓が良く見えるようにして並べられています。

なお、主な漁獲地は山口・茨城・福島等。
中でも茨城の「常陸もの」は高価で、美味な高級食材です。

中国・韓国・アメリカからの輸入もあります。

 

【栄養および健康への効果】

別名、「海のフォアグラ」。

良質なタンパク質が多く、脂肪は少なめで、低カロリー。
ひれや皮には、コラーゲンが豊富です。

【可食部100g当たりの主要栄養成分】

鮟鱇(生・肝)

エネルギー  445 kcal
タンパク質  10.0g
脂質     41.9g
炭水化物    2.2g
亜鉛      2.3mg
銅       1.0mg
ビタミンA(レチノール) 8300µg
ビタミンD   110µg
ビタミンE(α) 1.0mg
ビタミンB12 39.1mg
ビオチン    13.4µg
葉酸        88µg

*1000µg(マイクログラム)=1mg

【和食の調理のコツ】

形が安定しないのが欠点ですが、
鍋の使う時は、スーパーで鍋用に切ったものが売られています。

水分が多いので、さっと湯に潜らせて(くぐらせて)から用います。

また、寿司だねとして美味しい(おいしい)のは、
身と肝を合わせた、とも和えの軍艦巻です。

 

 

 

「七つ道具」の調理

先述の「七つ道具」のパック入りを使う場合は
卵巣胃袋塩もみして水洗いを行い、さっと茹で(ゆで)ます。

えらひれは、塩もみし、水洗いして骨や皮を除いて切ります。

その後、昆布等でダシを取り、豆腐や野菜等の具と一緒に煮る訳です。

 

「どぶ汁」

鮟鱇の鍋のバリエーションはさまざまですが、
有名なのは「どぶ汁」

どぶ汁は、身と野菜の水分だけで煮るのが特徴です。

「七つ道具」のひとつのあん肝でダシを取り、
他の七つ道具と野菜を入れ、味噌(みそ)を入れて味付けします。

 

【主要参考文献】
野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
白井明大・有賀一広『日本の七十二候を楽しむ』
新しい食生活を考える会
『食品解説書つき新ビジュアル食品成分表 新訂第二版』

冬が旬の魚・5 海老(えび)~車(くるま)海老

【特徴・由来】

車海老の大半養殖で年中出回っていますが、本来の旬は冬。

節足動物の甲殻類で、
日本近海には約200種類が棲息(せいそく)しています。

食用として重要なものは、
「伊勢海老」、「車海老」、「芝海老」、「北国(ほっこく)赤海老」等。

日本では、海老は昔から食べられています。

特に伊勢海老は、長い髭(ひげ)が長寿の象徴であり、
古くから儀式や祝宴に供(きょう)され、
正月の酒席はもちろん、鏡餅や蓬莱(ほうらい)飾りに使われてきました。

そうした事情もあり、日本は世界有数の海老消費国で、
東南アジアや中国から大量に輸入しています。

なお、国内での養殖は昭和9年に車海老でスタートし、
1960年代に盛んになりました。

以降は、海老の中でも、
中心的な存在である車海老についての記述になります。

車海老はクルマエビ科。
全長20cm前後で、北海道南部以南の内湾や浅海に棲み(すみ)、
淡色の殻に茶褐色や青褐色の横縞があります。

全長10cm以下は、「才巻海老(さいまきえび、別名・小巻)」と呼ばれます。

味も姿も良い高級海老で、成長が早く、
市場に流通するのはほとんど養殖もの。

和食の場合は、姿も味も良く、
特に加熱した時の赤い縞目の美しさは見事で、
江戸前寿司(すし)のたねや天ぷらに不可欠な最高の素材のひとつです。

 

【選ぶ時のポイント】

殻が付いており、脚などがそろっているもの、
頭と尾の付け根がしっかりしているもの、
殻に透明感があって身が締まっているものが良いです。

冷凍ものは、頭が付いていれば、
新鮮なうちに冷凍された証拠です。

 

【栄養と健康への効果】

コレステロール含有量は多いものの、
その排出を促す(うながす)タウリン
動物性食物繊維のキチン・キトサンも含まれています。

キチン・キトサンは脂肪を吸着して排出することで、
肥満解消の効果があります。

ただ、キチン・キトサンは殻と尾に多く含まれていることで、
海老は丸ごと食べるのがおすすめです。

因みに(ちなみに)、殻と尾には、
カルシウムも含まれています。

また、タウリンは胆石の形成を抑えます。

なお、昆布(こんぶ)やわかめと一緒に食べると、
粘り成分のフコイダンが、腸内でコレステロールを吸着します。

 

【可食部100gあたりの栄養成分含有量】

車海老(くるまえび)

エネルギー   97kcal
タンパク質   21.6g
脂質      0.6g
炭水化物    微量
カルシウム   41mg
コレステロール 170mg

 

【和食の調理のコツ】

殻付きの場合の下処理は、
海老の消化器官である「わた」を取ることから始めます。

背中を丸めて持ち、背中の側の尾から2節目か3節目に竹串を指して、
背わたを引っ掛けるように持ち上げます。

この時、鮮度が落ちていると、途中で途切れることがあります。

その後は、調理の目的によって、頭や尾を取ったり、
殻を剥く(むく)等の作業をします。

例えば、茹でる(ゆでる)時は、
70℃で5~6分茹でると柔らかく仕上がります。

野崎先生によれば、海老に限らず、大抵の魚を煮る場合は、
70~80℃位が程良いそうです。

一方、寿司にする場合は、酢湯で茹でます。

 

天ぷらの調理

天ぷらの場合は、姿よく見せる方法として、
尾を付けて揚げる場合は、包丁で先端を切り揃え(そろえ)、
包丁の背で水気をしごきます。

水で油がはねるのを防ぐためです。

また、真っすぐな形に仕上げる場合は、
身の中心に竹串(たけぐし)を指してから加熱します。

 

【主要参考文献】
野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
田中明/蒲池桂子『あたらしい栄養事典』
白井明大・有賀一広『日本の七十二候を楽しむ』
日本気象協会『季節と暮らす365日』

冬が旬の魚・4 鱈(たら)

【特徴および由来】

旬は冬。
冬の定番の魚です。

タラ科で寒流に棲む(すむ)深海魚です。

日本近海には「真鱈(まだら)」、「すけとう鱈」、
「氷下魚(こまい)」等がいますが、
鱈と言えば、主に真鱈(まだら)を指します。

大きい物は1メートルに達する腹が脹らんだ(ふくらんだ)
貪欲な雑食性の魚で、
たくさん食べる様子を「たらふく食べる」と言うのも、
この魚の行動が由来です。

冬、産卵のために浅海にやってくるのを漁獲します。

脂肪の少ない、淡泊でクセのない白身魚です。

加えて、水分が多く鮮度が落ちやすいので、
昔から甘塩の「塩鱈」や干物「干鱈(ひだら)」で流通し、
「丸干し鱈」、「棒鱈」、「すきみ鱈」等に加工されました。

その他、卵巣「白子(しらこ)」に価値があり、
白子を持つ雄(おす)の方が雌(めす)よりも高価です。

また、すけとう鱈の卵がたらこや明太子になります。

 

【選ぶ時のポイント】

身がほのかなピンク色で透明感があるもの、
目が澄んでえらが赤いもの、
切り身の切り口の角がしっかり立っており、透明感があるものが良いです。

 

【栄養および健康への効果】

身には脂肪が少ない一方、旨味成分のイノシン酸が多いです。

また、低カロリーで良質なタンパク質が摂れ、
加えて、ダイエットのメニューに適しており、
カリウムやカルシウム等のミネラル補給にも役立ちます。

カリウムは塩分排出を促進して血圧を安定させます。

カルシウムは骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を防ぐと共に、
成長ホルモンの分泌にもかかわります。

一緒に食べると良い食材は、椎茸(しいたけ)と木耳(きくらげ)。
ビタミンDを含み、カルシウムの吸収率を高め、骨や歯に沈着させます。

 

【可食部100gあたりの栄養成分含有量】

 鱈(たら)

エネルギー   77kcal
タンパク質   17.6g
脂質      0.2g
炭水化物    0.1g
カルシウム   32mg
コレステロール 58mg

 

【和食の調理のコツ】

昆布に2~3時間挟んで(はさんで)「昆布締め」にするのが定番ですが、
時間が長過ぎると身割れし、昆布の味も出過ぎて持ち味が損なわれます。

また、「鱈ちり鍋」も一般的で、アラに薄塩をして、
胃袋も肝も一緒に冬野菜との汁物に仕立てると、
ゼラチン質がとろみになって、寒い冬に暖まります。

ただ、鍋物にする場合は火が通りやすく身が崩れやすいので、
野菜を先に煮るのが良いでしょう。

真鱈の卵巣は、卵粒が大きく全体が黒いので、昆布巻きの芯等にします。

 

【主要参考文献】
野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
田中明/蒲池桂子『あたらしい栄養事典』
白井明大・有賀一広『日本の七十二候を楽しむ』
日本気象協会『季節と暮らす365日』

冬が旬の魚・3 牡蠣(かき)

【特徴・由来】

旬は3月~11月。

11月頃に身が詰まり、12月頃に香りが良くなり、
取り分け美味しい(おいしい)のは3月頃。

逆に、「Rの付かない月は牡蠣を食べるな」、
「花見過ぎたら牡蠣食うな」という諺(ことわざ)があります。

ただし、例外は後述する大型の「岩牡蠣」。

「夏牡蠣」と言われるように夏に味がよくなり、
真牡蠣(まがき・後述)と入れ替わるように市場に出回ります。

さて、牡蠣はイタボガキ科の二枚貝(左右一対の貝殻)。

殻は楕円形(だえんけい)で左右非対称。
片側は丸く、片側は平で、
丸い方の殻で岩にくっ付いて岩場に棲息(せいそく)しています。

貝塚から殻が出土する程、古くから食べられている貝で、
二枚貝の筆頭格。

養殖の歴史も古く、
日本では、1673年(延宝元年)に広島で始まっています。

なお、現在の日本では、市場に流通するのは、
「真牡蠣(まがき)」、「住之江牡蠣」、「板甫牡蠣(いたぼがき)」、
「岩牡蠣」の4種。

その中で、大半は養殖の真牡蠣です。

 

【選ぶ時のポイント】

貝の幅が広く、口がしっかり閉じているもの、
身がふっくらして、ひだの黒みが鮮明なものが良いでしょう。

また、パックの剥き身(むきみ)は、
身が厚くて液体が鮮明なもの。

で食べる場合は、
「生食用(なましょくよう)無菌牡蠣」と記されたもの。

なお、「加熱用」は、
無菌化をしていないだけで、鮮度が悪いわけではありません。

 

【栄養および健康への効果】

別名「海のミルク」。
特に、亜鉛の補給に最適です。

亜鉛の摂取により、
味覚を正常に保つ他、
インスリン合成を高めて糖尿や抜け毛の防止、
精力増強の効果があります。

牡蠣4粒(80g)で、
1日の亜鉛の所要量をほぼ賄え(まかなえ)ます。

その他、筋肉のエネルギー源となるグリコーゲン
鉄・銅・マンガン等のミネラルも含んでいます。

グリコーゲンは、
疲労回復の他、運動による筋力の効果を高めます。

なお、レモンや梅干しと一緒に食べると、
亜鉛がクエン酸に包み込まれて
体内に吸収されやすくなります。

 

下記の文献以外も、いくつかの健康関係の文献に目を通す限り、

食材の食べ合わせが良い、ということは、
大抵の場合は、消化に良い、体内に吸収されやすい、
ということを意味しているように思います。

 

【可食部分100g当たりの栄養成分の含有量】

牡蠣(かき)

エネルギー  60 kcal
タンパク質   6.6g
脂質      1.4g
炭水化物   4.7g
鉄       1.9 ㎎
亜鉛      13.2 ㎎
コレステロール 51 ㎎

 

 

【和食の調理のコツ】

牡蠣は食用にする部分はほとんど「わた」です。

そして、その美味しさとは、
身そのものの味に、海水の塩味や磯の香が加わり、
クリーミーな食感と一体になったところです。

流通する牡蠣には、
殻(から)付き剥き(むき)牡蠣があり、
剥き牡蠣には、生食用と加熱用があります。

 

剥き牡蠣

殻から取り出す場合は、
軍手等の手袋をはめ、
蓋殻(ふたがら)を上に、幅が狭い方を手前に持ち、
殻の右側中央から合わせ目にナイフ等を差し込み、貝柱を外します。

取り出した剥き身は、
大根おろし、もしくは塩分15%以内の塩水で振り洗います。

この後、生食用の場合は、
70℃位の湯にさっと通し(霜降り)、氷水に入れて水気を抜きます。

酸味と合うので、レモン等の柑橘類が良いでしょうし、
寿司だねにもなります。

 

加熱料理

鍋やご飯等、方法は色々ありますが、
加熱し過ぎると、柱とわたで食感が合わなくなるので注意です。

例えば味噌(みそ)で煮込む「土手鍋」は、

砂糖を加えた味噌を鍋の周囲に土手のように塗り、
味噌を崩しながら食べる鍋です。
十分な水分で煮込むために固くなりにくいです。

また、佃煮(つくだに)風に煮上げる場合は、

7割程度火が通ったら牡蠣を取り出し
先に煮汁だけを煮詰めるのがおすすめです。

 

【主要参考文献】
野崎洋光『料理上手になる食材のきほん』
田中明/蒲池桂子『あたらしい栄養事典』
白井明大・有賀一広『日本の七十二候を楽しむ』
日本気象協会『季節と暮らす365日』